上達するストリング(ガット)選び【必ずおさえたいポイント】

ラケットの知識を持っている方は多いですが、
ストリング(ガット)の知識をもってプレーされている方は少ないようです。

ストリングはどのくらい知っておけばいいのか。

参考になれば幸いです。

「ストリングにこだわるほど上手くないから何でもいいです」はNG!!

むしろわからないからこそ気にしていただきたいです。

たくさん練習しているのに上達しない。。。

その理由にストリングのミスマッチがあがるほど重要です。

 

テニスをはじめたばかりの女性お客様がご来店されたときのことです。

友人からもらったラケットを使っているけど

上手く飛ばない。周りの方はもっと楽に打っているように見えるけどなんでかなぁ?

ストリングを見てみるとハードヒッターの男性に向いているセッティングになっていました(@_@)

飛びすぎないように硬い素材、高いテンションで張られてましたので、初心者の女性には飛ばないキツイ状態になっていました。

よしのり

テニスのレベルプレー頻度パワープレースタイルによって選ぶストリングは大きく変わっていきます。

ストリンガーに「わからないと」とそのまま伝えてみましょう。最適なセッティングを提案してくれます。

 

ストリングはラケット性能の半分の影響力を持ちます

最新の高性能ラケットを使っていても、ストリングが半年以上張り替えてないものだったり、

自分にあってないものだったりすると半分近くラケット性能が発揮されないといってもいいほどプレーに影響します。

とくに1本のラケットのみでプレーされている方は半年前の打球感を覚えておくことは難しい。

現在の性能が低下したストリングの状態が「張りたての状態とあまり変わっていないだろう」と間違った認識をもってしまうことがあります。

▼高性能ラケットも鮮度の高いストリングが張ってあってこそ

1本しかない状態であればわからないのはむしろ当然でしょう。

テンションをはじめストリングの性能が落ちた状態が及ぼすプレーヤーへの影響について以下で触れていきます。

 

テニス肘や五十肩などのケガへの関係性

今回の本題とも言えます。「ケガ」との関係として3つあげていきます。

①寿命が来ていた

張り替えてから3か月以内のラケットであれば飛んでいたボールも3か月を過ぎていくと飛距離が徐々に落ちていきます。

数か月というスパンで行われるテンションの減少はゆっくり進んでいくため、上級者にならないとなかなか感じられないもの。

飛ばなくなったラケットで飛ばそうとすると

「力み」 や 「大振り」 などプレーに支障が出てきます。

また雑振動」も増えてきて体に負荷を与えます。

この「力み」や「雑振動」がケガを引き起こす大きな要素となります。

テニス肘や五十肩などは代表的なものですが、下半身に来る場合も当然あると思います。

よしのり

ストリングは切れなくても張替えするものです!誤解なきように。
注意
力みを感じたら早めに「張替え」や「ストリンガーへの相談」をおすすめします。
【今日のストリンギング】ケガ明け2年ぶり!リハビリテニス向けのストリングセッティング 【今日のストリンギング】ケガ明け2年ぶり!リハビリテニス向けのストリングセッティング

 

②実はテンションが硬すぎた

最適な張りの強さ(テンション)よりも硬く張り上げたストリングでプレーしてしまうこともあるかもしれません。

  • 体が元気だったときはそれでよくても(内部要因)
  • 暖かい陽気のときはそれでよくても(外部要因)

疲れていたり、寒くなったりすると硬く感じることがあります。

疲れているとスイングスピードが落ち→飛距離が落ちる。

寒くなるとボールが硬くなり飛距離が落ち、ストリングのたわみが減り→飛距離が落ちる。

これらを補おうと無意識にいつもと違う動きをすることがあります。

ケガはそんなときは起こることが多いです。

最適だったはずのテンションはいつも最適とは限らないわけです。

 

③ストリング素材・構造がハードすぎた

ストリングの素材・構造は化学繊維のもので大きく3つあるといえます。

  1. ナイロンマルチ(細い糸を束ねたものでボールを掴めるようなソフトな打球感)
  2. ナイロンモノ(爽快な打球音と球離れのあるハッキリとした打球感)
  3. ポリエステル(打球時たわまずボールをつぶして打てるハードな打球感)

1<2<3の順で硬くなり体の負担は大きくなります。

一般プレーヤーで1のナイロンマルチで3か月切れない方が

3のポリエステルを使うと硬くて飛ばないため、ケガのリスクが高まります。

3のポリエステルはカラフルでキレイなものが多いので知らない間に使っている方もいらっしゃいました。

のちほど細かくご説明します。

【-ストリングの素材-ここは押さえて!】手首を痛めたのはポリエステルにしてから。。。

ストリングの素材・構造の違いで体への負担が大きく変わってきます。

基本的には素材が「ナイロン」のストリングを使用しましょう。

▼体にやさしい構造「ナイロンマルチ」の代表例。細い糸を束ねた集合体のため手首・肘への負担が少ない「バボラ アディクション」

 

▼【記事】ナイロンストリングには2種類の構造が!「マルチVSモノ」どっちがよく飛ぶ??人によって価値観が真逆なことも

 

ナイロンはプレー頻度が週1~3回くらいの方なら基本的にはすべての方におススメできる素材です。

テンションが落ちにくく、緩みにくいので2~3か月近く快適に使用できます。

ただパワーがある方は「切れてしまう」ことがあるのが最大の難点です。

素材が「ポリエステル」には細心の注意を!

プロ選手の多くが使用していることもあり、メーカーは力を入れて商品開発しており、商品ラインナップも増えてきています。

特徴はとにかく「切れにくい」こと。

ナイロンのデメリット部分をカバーできるものです。

そのほか「スピンが良くかかる」「飛びを抑えられる」などメリットも多くあります。

ですが、ポリエステルのデメリットを必ず押さえましょう。

【デメリット①】テンションがすぐに落ちてしまう、伸びてしまう

張ってすぐ数日までの間に伸び、2か月ほどで完全に伸びきってしまいます。
(もちろん、打球時の負荷によっても変わります。)
これは毎日テニスをする部活生・アカデミー生ならともかく、大人のプレーヤーはよくよく押さえておきたいポイントです。

【デメリット②】強い衝撃・振動のため体への負担が大きくケガのリスクが高い

よくポリエステルのパッケージに「高反発」「やわらかい」「しなやか」などと書かれたものを目にします。

これを鵜呑みにしてはいけません。

この評価はあくまでも「ポリエステルの中で」という意味と解釈すべきです。

ポリエステルはナイロンガットが1~2週間以内で切れてしまう方が対象者です。

パワー・スピン・スイングスピードがあり普通に使ってもナイロンが切れてしまい困る方。かなり絞られてくるはずです。

 

私が30代でテニス中級レベルの頃は試合に出だして少し自信がついてきたころでもありました。
あまりよくわからないなか、体への影響の大きい素材「ポリエステル」のガットを使って手首を痛めたことがあります。
半年以上痛みと戦った苦い思い出。
最初はもしろ気持ち良さが先行して体の負担など感じませんでした。
振り返れば、体の調子がよくパワーパワーで押し込んでいくことが少し快感になっていたと感じます。
毎日トレーニングしているような競技者ならまだしも。。
体が悲鳴を上げたのだと思います。
ハイレベルな競技者は除いたとして、自分のパワーやテニスのレベルに合わせたガット選びは、「プレーの質」もさることながら「ケガの影響」を一番に考えたほうがいいのではないかと思います。

提案
大人でパワーの方はストリングが切れてしまうけれども1か月くらいもつなら、できればナイロンがおすすめ。
ラケットを2本体制にして2本を並行して使用することで長持ちさせるのも現実的な運用としてあげられます。

 

✅ポリエステルにするかはこれでチェック!(ジュニア・大人共通)

ナイロンのなかで高耐久のものをまずは使ってみてください。

これでも早く切ってしまう方はポリエステルへの移行を検討していきます。

▼写真は高耐久で人気の「ゴーセンAK PRO CX」耐熱加工してありナイロンのなかでは切れにくい。

【張りの強さ「テンション」ここは押さえて!】

どれくらいの強さでストリングを張るかが「テンション」です。

最新のラケットは基本硬い

1980~90年代にバリバリテニスをしていた方に多いのが「60ポンド」など強く張るタイプの方です。

当時はラケットの剛性が低く、しなりやゆがみが大きいためコントロール性能が課題の時代。

ストリングのテンションをあげてフライパンのように硬く張ることでコントロール性能を上げる傾向がありました。

メーカーの開発努力によりラケットの剛性が高まり、打球時のしなりやゆがみなどの変形が大幅に減少。

結果、コントロール性能やパワー性能は飛躍的に向上しました。

 

「テンションを上げる、強く張るほど体への負担も上がること」が最大のポイントです!
打球時の衝撃が強くなりテニス肘や四十肩などにつながります。

メーカーは硬く作れるようになったラケットを硬くなりすぎないように振動吸収性能などをプラスして開発されています。

とはいえ体への負担は増える傾向です。

ですから、以前のラケットよりもストリングのテンションは下げて、ゆるめに張ることが必要になりました。

硬く張る必要が減ったとも言えます。

数十年ぶりにテニスをする方は特に気を付けたいポイントです。

【オススメのテンション】「たわみを感じるくらい」を基準に!

ラケットが硬くなったのでストリングまで硬くするのは基本的には避けたいところ。

フライパンではなくせっかくラケットで打球するのですから、

打球時の衝撃でストリングがたわむ感覚を持ちたいものです。

特にボレーやスライスショットなどのスイング幅の短いショットは重要なポイントになります。

 

錦織選手も手首のケガの前後では38ポンドで張っていると聞きます。

とてもゆるいセッティングです。

38ポンドはゆるいからいいかというとコントロールが落ちる可能性があります。

上級者ならではのセッティングとも感じます。

あくまでも目安ですが、

男性は48ポンド前後
女性は44ポンド前後

あたりを参考値にしてみることをおすすめします。

 

あなたのお使いのラケットは硬めですか?柔らかめですか?

最新のラケットの中でもラケットの強度はメーカーによってもブランドによってもさまざまです。

おおまかですが、

ラケットのフレームが

厚めのもの(ラウンド形状)は硬め

薄めのもの(ボックス形状)は柔らかめ

と考えてください。

 

▼ラケット選びはこちら!

P3160221 P3160221

 

▼フレーム厚めのラケットの代表例

プリンス ビースト100

ラウンド形状はフレームにしなりが少ないので体への衝撃は高めです。

高反発で当てるだけで飛ばしてくれるイメージ。

ストリングのテンションは下げてセッティングいただきたい。

 

▼フレーム薄めの代表例

プリンス ツアー100

ボックス形状はフレームにしなりが感じやすい。

低反発なので自分でしっかり振ってボールを飛ばしていくイメージ。

ややストリングのテンションを上げてハードに打ってもOKな場合がある。

 

まとめ

面白くない話だと思いますが、「ケガをしない」ことが上達への最短ルートです。

  • 安易にポリエステル素材を使わないこと。
  • 安易に高テンションにしないこと。たわみを感じられないほどのテンションは危険信号かも。
  • 3~6ヶ月を目途に張替えながらプレーしてくこと。

以上を押さえて上達へ突き進みましょう!